

はじまりのうた BEGIN AGAIN (字幕版)
異例のヒットとなりミュージカル化もされた前作『ONCE ダブリンの街角で』同様、監督ジョン・カーニーが自ら脚本も手がけた音楽映画『はじまりのうた』は、物語と劇中生まれる楽曲たちがシンクロして、観るものに魔法をかけてゆくハートウォーミングな人生賛歌。元グラミー賞受賞プロデューサーながら今や人生に行き詰まっているダン(マーク・ラファロ)は、ある日バーのステージで寂しげに歌うイギリス人シンガー・ソングライター、グレタ(キーラ・ナイトレイ)と出会う。彼女の才能に心動かされたダンは、今やロックスターとなった恋人(マルーン5のアダム・レヴィーンが好演)に振られたばかりのグレタを説得し、一緒にアルバムを作ろうと持ちかける。主演のラファロとナイトレイは初共演ながら、ジェームズ・コーデン、キャサリン・キーナー、ヘイリー・スタインフェルドらと共に映画の中で最高のケミストリーを見せる。特にニューヨークの息吹きも感じられるレコーディングセッションのシーンは、彼ら自身の音楽をプレイすることの楽しさや喜びに満ち溢れ、どれも印象的。本作はアーティスト精神と音楽ビジネスをめぐる物語でもあり、最後に下す彼らなりの決断が今の時代を象徴しているのも興味深い。