RIIZE

RIIZEは、デビューそのものがドラマチックだった。2023年に韓国の大手音楽事務所SM Entertainmentが、NCTメンバーのSHOTAROとSUNGCHANを中心に新たなダンスボーカルグループを結成。多くの派生グループを生み出したNCTと分離した独自のグループということで注目を集め、日本人のSHOTAROを筆頭に、韓国人のEUNSEOK、SUNGCHAN、WONBIN、SOHEE、アメリカ国籍を持つANTONという、全員が2000年代以降に生まれたフレッシュな6人がそろった。グループ名は“Rise”と“Realize”を組み合わせた造語で、“一緒に成長し夢を実現し、進んでいくチーム”という意味が込められている。 彼らはデビュー前にプロローグシングル「Memories」をリリースし、2023年9月発表のデビューシングル「Get A Guitar」は発売前から予約だけでミリオンセラーを達成、まさに規格外の船出となった。いずれの楽曲もギターやサックスなどスタンダードな楽器のリフに現代的なサウンドをミックスし、エモーショナルポップという独自のジャンルを構築。懐かしさと新しさの融合により幅広い世代を魅了した。 K-Popといえばキレのあるダンスやファッションなどが注目されるが、それ以上に重要なファクターとなるのが情緒だ。バラード歌手が根強い人気を誇るように、背景まで推察できるような没入感の高いリリックこそがK-Popの魅力の一つ。ピアノを基調としたノスタルジックなメロディラインが際立つ「Love 119」は、往年のK-Popの情感と現代的なサウンドが見事に融合し、韓国での大ヒットはもちろん、世界の音楽チャートを席巻した。思春期の心の揺れを“緊急事態”と表現し、若者たちの葛藤を描くメロウな雰囲気は、彼らの音楽性を見事に具現化している。日本で撮影された叙情的なミュージックビデオも一つの短編映画のような高い完成度を誇る。続いて制作された「Love 119 (Japanese Ver.)」は、まったく同じ構図ながら日本人メンバーのSHOTAROを主人公として異なる解釈を示した。彼らの多面的な音楽性の高さが、映像一つで明らかにされたといえるだろう。 また、RIIZEは憧れの先輩グループでもある東方神起とのコラボレーションも音楽祭で実現させた。彼らは東方神起の代表曲「Rising Sun」を共にパフォーマンスし、約20年のキャリアの差がありながらも堂々としたステージを披露。RIIZEがこれからのK-Popシーンを担う存在であり、K-Popの正統的な道を進むグループであることを証明した。