RHYMESTER
RHYMESTER

RHYMESTER

RHYMESTERについて

アメリカで生まれたヒップホップがようやく日本に伝わってきた1980年代の末から、日本でヒップホップをやること、そして日本語でラップすることに真正面から向き合ってきたパイオニア、RHYMESTER。果てしない試行錯誤を繰り返しながら、ぶれないスタンスで日本の音楽シーンに新たな地平を切り開いてきた。

大学で出会ったMummy-Dと宇多丸が中心となって1989年に結成。1993年にアルバム『俺に言わせりゃ』でデビューを果たすと、1994年にDJ JINが加入して3人体制になった。マイクロフォンナンバー1ことラッパーの宇多丸、マイクロフォンナンバー2にしてプロデューサー/トラックメイカーでもあり、トータルディレクションも担当するラッパーのMummy-D、そしてターンテーブル2台でサウンド面を支えるDJ/トラックメイカーのDJ JIN。この3人による絶妙なコンビネーションは、数多くリリースしてきた作品の面でも、全国津々浦々で行ってきたライブの面でも、日本のヒップホップの王道を体現してきた。

代表的なアンセムとして知られる「B-BOYイズム」や、自らの通称でもあり、自慢のライブスキルを痛快にセルフボーストした「キング オブ ステージ」といった初期の代表曲。新たなフェーズの幕開けを強く印象づけた2009年の「ONCE AGAIN」や、メロウなトラックの上で優しくかつ力強い落ち着いたトーンのラップを聴かせる2013年の「It's A New Day」。さらにフリースタイルMCバトルが大きく盛り上がり急速にラップが広まった時期に、あえてヒップホップの過去、現在、未来をラップした2017年の「Future Is Born」や、ラッパーを主人公にしたテレビドラマのために書き下ろした「マイクの細道」など。RHYMESTERはシリアスなメッセージソングから深読みしたくなる頓知の効いた楽曲、さらにはユーモラスで享楽的なパーティーチューンまで数々の名曲を残している。

そんな彼らの大きな功績は、聴き取りやすい日本語でタイトに韻を踏みながら、歌詞として自然に理解できる物語を伝える、という日本語ラップにおける一つのひな型を作り上げたことだろう。他ジャンルからの転向ではなくヒップホップから音楽活動を始めた最初の世代として模索しながら作り上げた緩急自在のラップが後の世代に及ぼした影響の大きさは計り知れない。また、ライブでもターンテーブルとマイクでのパフォーマンスに強いこだわりを見せるなど、ヒップホップ独自のスタイルを大切にする一方で、クレイジーケンバンド、ゴスペラーズ、忌野清志郎、SOIL &"PIMP"SESSIONS、KIRINJI、岡村靖幸といったバンドやシンガーとも精力的に共演してヒップホップ/ラップの音楽的な可能性を探求してきた。そうした経験から培った魅力は2021年の『MTV Unplugged: RHYMESTER』で存分に味わえる。さらに、宇多丸はラジオパーソナリティや映画評論、Mummy-Dはプロデューサー業に加えて俳優やナレーター、DJ JINはプロデューサーやクラブDJとして、メンバーそれぞれがマルチな才能を発揮しながら多方面で活躍している点も彼らのユニークな特徴だ。

長い活動期間の中でコンスタントに作品をリリースしてライブを行いながら、キャリアや年齢にふさわしくかつ時代にもフィットしたヒップホップをアウトプットする。言い換えれば“成熟したヒップホップ”とでも呼ぶべきものを体現できているアーティストは、アメリカでも、その他の国でもそれほど多くはない。RHYMESTERはそんな未開のフィールドを、日本のヒップホップならではの手法で歩み続けている。

同じタイプのアーティスト