Cardi Bのブレイクは、まるで2010年代のシンデレラストーリーだ。舌鋒鋭いニューヨーカーのCardiはわずか数年の間にSNSで爆発的な人気を得た後、やがてヒップホップシーンで最もエキサイティングなラッパーとなり、堂々たるフェミニストアイコンの座に上りつめた。1992年サウスブロンクス生まれ、本名はBelcalis Almanzar。19歳でストリッパーとなり、バイラルヒットした動画や動画に付けた笑いを誘うキャプションで、クラブでの熱狂的なファンはもちろん、SNSでもたちまちフォロワーを増やしていく。2015年には話題満載のリアリティテレビ番組『Love & Hip Hop: New York』に出演を果たす。持ち前の大胆な性格で、他のベテラン共演者を尻目に一番の人気者になった。 底抜けのカリスマ性で、Cardi Bは当然のごとくラップ界も席巻する。機知に富み、あけすけで、何者も恐れない彼女の初期の楽曲は、自分を最優先するたたき上げの女性たちを鼓舞した。そして「Bodak Yellow」がCardi Bをスーパースターへと押し上げる。思わず曲に合わせて叫びたくなるようなこのトラップアンセムは、2017年、カーステレオからクラブに至るまであちこちで鳴り響いた。さらに2018年に発表されたデビューアルバム『Invasion of Privacy』では、彼女の幼少期を象徴するラテンミュージックに筋金入りのニューヨークハスラーのアンセムを融合し、Cardiはこの先も生き残れるか、という疑問を払拭（ふっしょく）した。それと同時に彼女は、ブルーノ・マーズの「Finesse (Remix)」からオズナの「La Modelo」、マルーン5の「Girls Like You」まで、シーンをにぎわせるアーティストたちの楽曲にもゲスト参加し、ヒットチャートの至る所に彼女の名前が見られるようになった。自称“ブロンクス生まれの普通の女の子”がひときわ存在感を放っている。