ブリトニー・スピアーズ

ブリトニー・スピアーズのキャリアは、デビー・ギブソンやマドンナのような1980年代の大物ティーンポップスターと比較して語られがちだ。だが、彼女は型にはまった大衆向けのイメージから脱却して、21世紀における最も冒険的なポップスターと成長したのである。ルイジアナ州ケントウッドで育ったスピアーズのパフォーマーとしての初めての経験は、1990年代にリブートされた子ども番組『The Mickey Mouse Club』のキャストだった。そして、その出演期間が終わると、彼女は初期のY2Kのティーンポップブームにおける立役者となった。1999年のデビュー作『...Baby One More Time』は、当時のCDをリリースから1年以内に1,000万枚以上を売り上げ、ダイヤモンドディスクに認定された。翌年の『Oops!...I Did It Again』は、2001年中頃までに900万枚が出荷された。スウェーデン出身のポップミュージックの第一人者であるマックス・マーティン（「...Baby One More Time」）や、冒険心あふれるプロダクションチームのザ・ネプチューンズ（「I’m a Slave 4 U」）、エレクトロの達人であるBloodshy and Avant（「Toxic」）のようなヒットメーカーたちとのコラボレーションにより、彼女はダンサブルなヒット曲を次々と連発。売り上げを最優先するのではなく、現代社会で女性として生きることの複雑な計算について巧みに歌で表現したことにより、史上最大級のポップスターになったのだ。彼女の曲の歌詞は、大きな名声や恋愛ドラマ、自分らしさを保つことの難しさなどに触れていて、そのすべてが感情的で傷つきやすい人物像を表現している。スピアーズは曲の中で、サバイバーであり（「Stronger」）、力強さを手に入れた女性であり（浮気者に対して歌い上げられる「Womanizer」は象徴的だ）、だまされやすい人ではないことを主張している。