パニック!アット・ザ・ディスコ

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パニック!アット・ザ・ディスコについて

パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーが2017年にブロードウェイのミュージカル『キンキーブーツ』に出演したことは、まるで予言が当たったようなものだった。パニック!アット・ザ・ディスコというバンドは常に、ユーリーたちメンバーにとって、自分の内に存在する役者を着飾らせ、思い切り派手に活躍させる手段でもあったからだ。バンド初期のポストエモの時代でさえ、彼らの音楽は飾り立てたオーダーメイドの衣装のように感じられ、隅々までこだわりを持って作られていた。過激主義のポップを極めた2016年の『Death of a Bachelor』では、ユーリーのフランク・シナトラへの熱い思いが呼び覚まされていたが、彼にとってシナトラの第一印象といえば、アニメ映画『ロジャー・ラビット』で「Witchcraft」を歌う剣の姿だったとの注意書きがある。つまり、原点は色鮮やかに輝くアニメだった。パニック!アット・ザ・ディスコは、2004年に幼なじみが集まって結成された。マイ・ケミカル・ロマンスや、フォール・アウト・ボーイのピート・ウェンツが先駆けとなったシーンの一端を担い、ダンディで自意識過剰でありつつファンを喜ばせる高揚感も併せ持った、ポップパンク版ミュージカルともいえる音楽を鳴らしていた。ユーリーがラスベガスでシルク・ドゥ・ソレイユやBLUEMAN GROUPなどのステージを観て育ったというのは納得できる。そして彼らのライブに竹馬乗りや曲芸師、リボンダンスまで取り入れられたことはさらに納得がいく。パニック!アット・ザ・ディスコはショーを見せるためのバンドだったからだ。年月を重ねるにつれて、彼らのサウンドは洗練されたメインストリームポップのスタイルに近付きながらも、世界中で卒業アルバムに引用されたり、SNSのキャプションのネタになったりしてきたドラマチックな要素を失うことはなかった。オリジナルメンバーで作詞担当のライアン・ロスや、主な作曲者だったスペンサー・スミスも後に脱退するなど、一連のメンバーチェンジを経て、実質的にはユーリーのソロプロジェクトに落ち着いた。2018年の『Pray for the Wicked』では、シナトラやスウィング・キッズへの憧れにヒップホップやR&B、ダンスミュージックを合わせることで、その特異なスタイルにさらなる磨きをかけている。

出身地
Las Vegas, NV, United States
結成
2004年
ジャンル
オルタナティブ