活動的なマインドと成熟したソウルを併せ持つキッド・カディは、社会不適応者やはみ出し者にとってのヒップホップ界における守護神だ。1984年生まれ、クリーブランド出身のキッド・カディ（本名：Scott Ramon Seguro Mescudi）は、若いころに直面した試練を糧にしてシーンに登場した。高校を退学させられた後、彼はラッパーとして成功する夢を胸にニューヨークに移住。2008年に大ブレイクしたヒット曲の「Day 'n' Nite」は、彼の矛盾の数々を巧みに網羅していた。陽気なパーティーソングがメランコリーで誠実な歌詞と合わさった彼の音楽は、ヒップホップ界で次の10年に起こることを定義することになった。そして間もなくカニエ・ウェストのレーベル、G.O.O.D. Musicと契約したカディは、ウェストの『808s & Heartbreak』（2008年）で数曲を共作し、彼独自の内省的なイメージの中でさらにヒップホップの未来を形成してみせた。長い時間の中でカディのビジョンはさらに拡大し、一連のテーマに基づいたアルバムや、不安症とうつを患っていることを公にした後の2016年のアルバム『Passion, Pain & Demon Slayin’』など、心の内を深く掘り下げた作品を発表。また、長年オルタナティブロックを作るパートナーとなっているプロデューサーのDot Da Geniusと組んだWZRDなど、境界を打ち破るサイドプロジェクトの数々に取り組んだ。そして2018年には、カディはウェストと組んでKIDS SEE GHOSTSを結成。2人の名声を伴ってありのままに取り組んだこのデュオの曲「Reborn」は、カディが歌う感動的なコーラスと共に、自己愛と自己改革を語る時代を超えた名曲となっている。カディにとって創造とは、究極的にはより高次のパワーへのアクセスを解き放つことである。彼は、コラボレーションをするアーティストの選択に関してApple Musicにこう語った。「僕たちは、周囲にあるすべての音楽を感じ、その中を泳ぐ必要がある。そして、それをやるための唯一の方法は、同じ考え方を持つ人たちと、同じ使命を持ってつながることなんだよ」