Willows

Willows

20世紀初頭に書かれた名曲、現代のクラシック界のけん引する作曲家たちの作品、そしてアメリカのフォークソングの編曲版が、自由で幅広い音楽性を持つヴァイオリニストで指揮者のペッカ・クーシストによって鮮やかに表現されている。 アルバムの冒頭を飾るのはイギリスの作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズが1914年ごろから1920年にかけて書いた代表作の一つ、「揚げひばり」だ。のどかな風景の中、空に高く舞い上がるひばりの姿を描きながらもどこか悲しい響きを含むこの曲には、作曲当時に起こっていた第1次世界大戦によって失われていく大切な物への深い思いが込められているとも言われている。クーシストの表情豊かなヴァイオリンと彼が弾き振りするノルウェイ室内管弦楽団は、郷愁や切ない気持ちをたっぷりと含みながらも鮮やかな演奏を聴かせてくれる。 続く『プラン・アンド・エレベーション』は、現代アメリカの先鋭的な作曲家、キャロライン・ショウの作品。タイトルは建築物を図面にする方法である平面図と立面図のことで、ショウはそれを念頭に置きながら、ダンバートン・オークスに滞在した時に目にした美しい風景やパーソナルな体験を音楽で表現した。もともとは弦楽四重奏曲だが、ここでのクーシストとオーケストラは管弦楽版を奏でていて、楽曲に新鮮な彩りを与えている。続く「Desiderium」は、ショウと同世代のアメリカの作曲家、エレン・リードによる無伴奏ヴァイオリンのための作品で、クーシストのスリリングかつ繊細で、技巧的かつ情熱的な演奏がリスナーを引き込む。 そして、アルバムの終盤にはショウやリードの作品とは対照的に、穏やかでどこか懐かしいアメリカのフォークミュージックが収録されている。これらの曲には、ポストクラシカルを代表するアーティストの一人であるニコ・ミューリーによるアレンジが施されている。ミューリーによるシンプルで穏やかなオーケストラ版を奏でるクーシストとオーケストラは、原曲の味わいを損なうことなく豊かな響きをもたらし、アメリカのシンガーソングライターSAM AMIDONによる素朴な歌唱を絶妙に引き立てている。