

2020年のパンデミックによるロックダウンの際、ルノー・カピュソンは他の多くのアーティストたちと同様に、オンラインで世界中にライブミュージックを届けた。同年3月からの2か月間、ピアニストのGuillaume Bellomと共に室内楽の小品や編曲もの、映画音楽などを演奏するミニリサイタルを毎日配信したのだ。1年半後、彼らはその中から22の心温まる楽曲をセレクトした。このアルバム『Un violon à Paris』は、最も困難な時にあっても音楽が癒やしと慰めを与える力を持っていることを改めて教えてくれる。バッハの『Suite No. 3 in D Major』から「II. Air」(「G線上のアリア」)、ドビュッシーの「Clair de lune」(「月の光」)、エルガーの「Chanson du matin」(「朝の歌」)など、収録曲の多くは穏やかな雰囲気を醸し出すもの。一方で、ブラームスの『Hungarian Dances, WoO 1』(『ハンガリー舞曲』)やクライスラーによるバロック風の作品「Prelude and allegro in the style of Pugnani」(「プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ」)などスリリングな楽曲も聴くことができる。