「ハレンチ(破廉恥)という言葉をタイトルに決めたのは、マイナスなイメージもあるけれど、その言葉自体はとても芯のある強い意味の言葉だと思うから」と、ちゃんみなはインパクトのあるタイトルが付けられた約2年ぶりのアルバムについてApple Musicに語る。「それに、日本語っぽくない響きもあるし。だから、すごく私と共通点があるなと思ったんです。3作目のアルバムにはこのタイトルがふさわしいと思って、前からメモしていました」「とにかくスランプがすごく多かったんです。自分が本当に納得した曲しかアルバムに入れないようにしたので、その納得のハードルをちょっと上げて、そこに達したものしか入れないようにってすごくこだわりました」とちゃんみな自身も認めるように、産みの苦しみも味わい、渾身(こんしん)の力を注いだ全16曲が並ぶ。「スランプが明けた時の1曲目として書いた」というアルバムの冒頭を飾る「太陽」は、一聴するとラブソングのようにも聞こえるが、本人はこう語る。「まさに音楽のことを歌っていて、『君がいないと息ができない』っていうのは、曲を作れなかったことを歌ってるんです。それでも私にはやっぱり音楽が必要だったんだって」。さらに、ポエトリーリーディング風の「想像力」については、「想像力って、生活する上ですごく大事だけど、それに苦しめられている人も中にはいる。この曲ではすごくパーソナルな話をした」と解説してくれた。そして、すでにシングルとして発表された「美人」は、ルッキズムをテーマにし、大きな反響を呼んだ一曲だ。17歳で本格デビューしたちゃんみなだが、デビュー当時は特に容姿についてさまざまなコメントをもらったといい、それは「想像を絶する苦しみだった」と振り返る。「ルッキズムとかは世界的な問題だし、私もダイエットの影響で顔面まひや不眠症など、自分の健康が害されることもあった。このテーマについては、もともと“書くべきなんじゃないか”と思っていた」と打ち明けた。これまでのちゃんみなの作品の枠を飛び越えた多彩な楽曲の数々。「今回は、アルバムの流れもすごく考えた」と語るように、アルバムを通して聴くと、まるでちゃんみなのドラマティックな舞台を鑑賞したような気持ちにもなるだろう。本作で浮かび上がるのは、アーティストとして成長したちゃんみなの姿だ。「これまで、音楽は自分の自己救済みたいな感じだったので、“誰かに聴いてもらいたい”みたいな気持ちが本当になかったんです。でも、もしかしたら私が全然知らない場所で感激してくれている人がいるかもしれないと思うと、これから、(自分の音楽を)そういう人に届けていきたいなって思いますね。みんなが知らなくても、私が言いたいことをその人だけが分かってくれたらいいやって」。ちゃんみなが語るその率直な気持ちが、アルバムに宿る“芯のある強さ”を映し出す。
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