folklore

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もしも新型コロナウイルスの感染拡大がなかったら、このアルバムは生まれなかったはずだ。ロックダウン中にテイラー・スウィフトが思い立って作り始めた本作はまさに想定外の産物であり、他者と隔絶された内省の日々を想像力によって色鮮やかに昇華した、どこまでも美しいアルバムなのだ。The Nationalのアーロン・デスナーをプロデューサーに迎え、「exile」ではボン・イヴェールとのタッグも実現。彼らとのコラボレーションが本作のミニマルにして端正なフォークサウンドの源となり、『1989』以降のテイラーのポップ路線とは一線を画すクラシカルで普遍的な作品に仕上がっている。また、これまでは等身大の自分を歌ってきた彼女が、ここでは戦争で戦った祖父に思いをはせた「epiphany」、20世紀に実在した大富豪の未亡人をよみがえらせる「the last great american dynasty」など、いくつもの視点を内在させた歌詞を紡いでいるのも新境地だろう。コロナ禍の物理的制約にもかかわらず彼女のクリエイティビィティはむしろ大胆に飛躍し、自分と他人、現実と空想が交錯しながら拡大していくそのストーリーテリングは、いまだかつてない高みに達している。

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