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「このアルバムを作るずっと前から『最強のフルアルバムでメジャーデビューしたい』と決めていました」。トンボコープの雪村りん(Vo/G)は、初のフルアルバム『FANDOM』についてApple Musicに語る。迷いながらも全力で生きる姿勢を躍動的なロックで伝えるこのバンドは、さらに大きな世界へと歩みを進めている。「『FANDOM』とは熱狂的なファンの集団を指します」と、林龍之介(Dr)はタイトルの由来を説明する。「このアルバムを合鍵として、トンボコープとファンのみんなとの世界を作りたいと思ってこのタイトルにしました。また、FANとDOM(E)を埋めるというバンド結成の目標も込められています」 何度となくライブハウスのステージに立つたび、彼らは“ファンと共に世界を作っている”という思いを強めてきた。だからこそトンボコープの音楽は、自身を奮い立たせるだけでなく、聴く人の存在を肯定し、その手を取って立ち上がる勇気を与える。本作に収録された多くの楽曲は、バンドとファンが声を合わせて一緒に歌うために生まれた。「“今やりたいこと”、“今伝えたいこと”をすべて詰め込んで、自分たちにしかできないロックの土台を創りあげる思いで制作しました」と雪村は力強く語る。未来へ向けて確かな足場を築いた本作について、ここからはメンバー全員にいくつかの楽曲を解説してもらおう。 アイデンティティ 雪村:この曲は自分の決意の歌です。自分のことをなかなかうまく愛せないのが嫌で、そんな自分を変えたいと思って書きました。トンボコープの音楽に集まってきてくれる人の中にはきっと僕に似ているような人がいると思っています。そんな人たちの背中を押せるような曲になったらうれしいです。 HEART BEAT 雪村:ライブでの風景を想像しながら作りました。特にアウトロのメロディは、みんなで大合唱してるところを想像して。イヤホンで聴いてくれる君やライブ会場へ会いに来てくれる君と共にBPMを感じられたらそれが僕らのつながっている証です。 MUNSELL 林:軽快に散歩でもしながら聴くと良いんじゃないかな。すべてのことは難しく考えなくて良いです。確かなことは、あなたにはあなたの色があって、あなたを除いて世界が回ることはないということだけ。 囚人 雪村:“自分にとってロックとは何なのか”を再確認する曲。色んなジャンルの要素が詰まっていたり、他人が想像する“トンボコープの雰囲気”からかけ離れていたりすると思います。でも、僕が「かっこいい」と感じたら、それが“トンボコープなりのロック”。何にも忖度(そんたく)をせずに、僕がただ「かっこいい」と思うものを詰め込んだ一曲です。 Freeedom! 林:自分なりの歌詞の正解がなかなか出なくて全部で10パターンくらい書きました。自由とは何かって真面目に考えると難しくて、ただ好きなことだけやれば良いってわけじゃないじゃないですか? そんなこと考えてたら、もう歌詞書くの嫌になっちゃって…スタッフさんにハンバーガー屋に連行されてハンバーガー食べさせられました。 レインコート 雪村:嘘をつかずに、正直に本音を書くことにこだわりました。高校生の時の自分に胸を張って聴かせられる曲がやっと書けたと思っています。気に入っているのはアウトロのフェイクです。歌もありのままの自分でいることにこだわりました。 地獄でいいから 林:大切な人といることで巡り合う障壁や困難を避けて一人を謳歌するよりも、どんな逆境の中でも君といれることが何よりうれしいという気持ちが根元にあります。実にキザです。キザ過ぎて素直に好きと言うことすらできません。そんな回りくどい自分のことも歌詞に込めました。 Now is the best!!! でかそ(B):先にサビのみのデモをSNSに公開してから、反応を見てフルで制作した曲です。トンボコープを色んなステージに連れて行ってくれた大切な曲。ファーストフルアルバムを作るにあたって、そしてそれでメジャーデビューするにあたって、絶対に入れたかった過去曲の一つです。 そらサンダー(G):アルバム曲の中で一番心が落ち着くサウンドになっています。初めて聴いた時、なんとなくジャズっぽいソロがハマる気がしていたので、ジャズギタリストのスタジオセッションを見まくってからソロの制作に挑みました。