「とにかくすごいことだとも言えるけど、僕たちはこの経験を丸ごと受け止めているわけではない」と、Grupo Fronteraのパーカッション奏者Julian Peña Jr.は、バンドが早くから驚異的な成功を収めたことについての見解をApple Musicに語る。「僕らは常に動き回っている。あまり考え過ぎたくない自分たちにとって、それは良いことのように感じる。でも、あらゆることが変わっていくのを目撃するのは大好きなんだ。信じられないことだよ」。2020年代初頭に、メキシコ音楽が国境を越えて広く国際的に知れ渡ったことを考えると、テキサスを拠点とする彼らがやがて最も話題のバンドとなったとしても驚きには値しない。Grupo Fronteraの快進撃そのものは依然として印象的だが、それ以上に意義深いのは、いかに多くのアーティストがすばやく彼らの輪に加わったかということだろう。 彼らの勢いが本当に高まったきっかけは、コロンビアのポップアーティストMoratによる「No Se Va」をカバーしレコーディングしたことと、最初は気が進まなかったものの、誰もが聴けるように完成した曲をアップロードして公開するという決断だった。「あの曲がすべてだ」とボーカリストでバホキント奏者のAdelaido “Payo” Solís IIIは語る。「それは僕たちにとって、始まりであり、中間であり、未来だ」。クンビア風にアレンジしたそのカバー曲が2022年にバイラルヒットすると、続いて彼らはFuerza Regida、Peso Pluma、そして中でも最も注目すべきバッド・バニーを含む多くのアーティストたちとコラボレーション曲をリリースした。「アルバムの中でも、それ（「un x100to」）がヒット曲になることは分かっていた」とPayoは言う。「（バッド・バニーが）参加してくれたおかげで、アルバムに彼の名前を載せることができ、自分たちの想像をはるかに超えた先へと前進させてもらえた」 フルレングスのデビューアルバム『El Comienzo』の制作において、Grupo Fronteraはヒットメイカーでソングライター／プロデューサーのEdgar Barreraと密に作業した。「彼が説明してくれた曲の書き方は、書きながらアーティストの心に入り込むというものだった」とPayoは語る。「彼はそのアーティストの立場になって考える、つまり何を感じ、何を考えているのか、とね。それは体外離脱体験なんだ」。そういった意味で、「LE VA DOLER」のような曲は、歌い手自身の恋愛の悩みを強く訴えかけている。「何が起こっていたかという点では、完璧すぎるほどだった」とPeñaは補足した。「一体どうやって？ と驚いたよ」。その感動は、デラックスエディションに限定収録された、心の痛みやダメージを歌ったもう一つの曲「AMOR PROPIO」へと続いている。 彼らのコラボレーションは、アルバム『El Comienzo』においても継続されている。Carin Leónとの「QUE VUELVAS」やKe personajesとの「OJITOS ROJOS」のような既存のシングルに加えて、Junior Hとの「EN ALTAVOZ」やYahritza Y Su Esenciaとの「LAS FLORES」といった新たな息吹を感じる新曲が収録された。中でも注目すべきは、Grupo Firmeとレコーディングした力強い失恋ソング「EL AMOR DE SU VIDA」だろう。自身たちにとってのアイドルや同世代の新星たちとタッグを組むことによって、Grupo Fronteraは『El Comienzo』で、これからの明るく長いキャリアに向けて素晴らしいスタートを切ることができたのだ。