2022年の初夏に3年ぶりのツアーを開始した小田 和正による8年ぶり、10作目のオリジナルアルバム。前作『小田日和』以降に発表したシングル曲を中心に、ドラマや映画などのテーマとなった数々の楽曲が収録されているが、それぞれの歌が有機的につながって、物語を描いているように感じられる。例えば「会いに行く」は2018年の楽曲だが、本作の中ではコロナ禍の逆境から少しずつ歩を進め、やっとライブ会場で笑顔を交わし合えるようになった日々への喜びを歌っているようにも聴こえる。これは、小田 和正が変わることのない普遍的なメッセージを伝え続けていることの証ともいえるだろう。佐橋佳幸（G）、ネイザン・イースト（B）、木村万作（Dr）ら名うてのプレイヤーによる豊かなバンドサウンドや、松 たか子、佐藤竹善（SING LIKE TALKING）、JUJUら実力派ボーカリストによる柔らかなコーラスも堪能しながら、じっくりと優しい歌に浸れる全9曲。