Catch Up

Catch Up

「10年後、20年後、いつか振り返った時に、WANIMAの3人は手を抜かずに間違いないものを作ったなと思える作品になったと思います」と、WANIMAのKENTA(Vo/B)はサードフルアルバム『Catch Up』について、Apple Musicに語る。前作『COMINATCHA!!』から4年ぶりとなる本作には、疾走感のあるロックはもちろん、メロコアやロカビリー、ポップパンクなど多彩なジャンルを取り入れた20曲がそろった。これほど幅広い楽曲ができたのは「メンバー3人が曲を作ることに対してすごく柔軟になったから」だとKENTAは言う。「今回は1曲ごとにテーマと期限を設けて作る方法にトライしました。3人でプリプロ(仮録音)ができるようになったのも大きくて、本番のレコーディング前に曲の色味やテンポ、キーをしっかりと探れるようになった。コロナ禍でも止まらずにずっと自分たちの道筋を引いてやってきたので、あの時準備したことが今しっかり生きていると思います」 がむしゃらに熱く生きる姿勢を音楽にして、人々に勇気を与える3人のスピリットは変わらない。しかし、バンド結成から10年以上の経験を積む中で、作品制作に向かう意識は変わってきた。「20代の頃は俺が伝えなくても誰かが伝えるだろうと思っていたけど、今は俺が伝えなければ誰が伝えるんだという意識があります」。ライブシーンが苦境に追い込まれた時期も、ファンと共に前を向いて一歩一歩進んできたWANIMA。そうした日々の中で、人としての在り方や、バンドとしての方向性が少しずつ明確になったのだという。「このアルバムは自分が大切にしている正義や大義、自分はこうありたい、自分はこう思っているということを恥ずかしげもなくみんなに伝えるものになった」とKENTAは胸を張る。そして「もし悩みを抱えている連中がいるんやったら、一人で抱えこまんで一緒にやっていこうと伝えたい。何があっても腐らずに熱く生きてる連中が俺はすごく愛おしいし、大好きですね」と熱く語りかける。「30代の今、20代の頃の自分に『カッケーな、かましてるな』と思わせるアルバムにしたかった」と言うKENTAに、ここからはいくつかの楽曲を解説してもらおう。 Catch Up アルバムの1曲目は、作品全体の形が見えてから最後に作る楽しみとして取っておきます。この曲はライブのSEで、逆光の中に俺らが登場するというイメージで作りました。「大変を楽しんで」という歌詞は、自分たちの曲作りにも当てはまるし、聴いている人たちも日々の大変さを楽しめたらいいなという思いも込めています。 遠くまで (福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手に)直接会った時に、登場曲を作ってほしいと言っていただいて作りました。ギータ(柳田選手)の代名詞の「フルスイング」というワードを入れさせていただいています。 FLY & DIVE もともと僕はレゲエやヒップホップに影響を受けてきたので、この手の縦ノリはWANIMAにありそうであまりなかったと思います。アルバム全体の流れで聴くとこの縦ノリがすごく生きてきて、大事なポイントになりました。「ハートHotに頭はCoolに」というフレーズは、俺が大事にしている価値観です。 Chasing The Rainbow ムネ(東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手)とドラムのFUJI君は、年齢は13個違うんですけど高校が同じ九州学院という縁がありまして。ムネから直接登場曲を作ってほしいと言われて、世界に向けて戦う彼に、大きいスタジアムをイメージして曲を作りました。とはいえ、(「遠くまで」も同じく)曲を受け取ってくれた方は自分の今置かれている立場で聴いていただくことで、目の前の世界が変わればいいなという願いを込めています。 あの日、あの場所 この曲を作った頃は自分がすごく駄目な時期で、本当に地獄にいるような気持ちだったんです。それでも俺のことを見捨てずに支えてくれた仲間やファンがいて、はい上がるために必要なことや、見失っちゃいけないことを再確認させてくれた。この曲ができてから俺はWANIMAのKENTAとしても、松本健太としてもやっていける気持ちになったので、とても感謝しています。また自分が大切なことを忘れかけた時には、自分に問いかけながら歌いつないでいきたい曲です。 サシヨリ 「サシヨリ」は熊本弁で“とりあえず”という意味です。例えば居酒屋さんでとりあえずビールを頼む時に「サシヨリ生」とか言います。この曲は自分が日和った時やブルった時に必要な「サシヨリ」、とりあえず大事なことを詰めました。 遠ざかる声に WANIMAにとってコーラスはすごく重要です。俺らはメンバー3人が歌えるのが強み。ギターのKO-SHINはキーが高くて、ドラムのFUJI君は器用だからいろんな歌を歌える。そしてなによりWANIMAのライブはお客さんが一緒にすごく歌ってくれる。だからライブで相乗効果を生むコーラスを作るのが好きだし、俺らの武器の一つになっているとも思います。 舞台の上で それぞれの生きている場所を舞台とするならば、「生きている中で 最高の結末は まだこれから来るはずだから」と歌っています。ピンチやチャンスが訪れる土壇場の場面で、もしこれが映画のワンシーンだったら…と俯瞰(ふかん)して自分を見られたら、もう少しやっていけるかなと思うので。それぞれの舞台の上で自分はどうするかを問いかけるこの曲を最後に置くことに、すごく意味があったと思います。僕自身も励まされる大事な曲です。

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