冒頭のタイトル曲が本作のカラー、ひいては摩訶不思議なモンクス・ミュージックを象徴している。フロントはソニー・ロリンズとアーニー・ヘンリーによるサックス二重奏で、不協和音を多用したイントロから早くも煙に巻かれたように感覚だ。目まぐるしく展開し、頻繁なテンポチェンジが行われるこのナンバーは、自由奔放でありながら実は巧みに制御されているようでもある。構成の異質さ、うまさに気付かされると、セロニアス・モンクという異能の天才のサウンドはますます光り輝くものになるだろう。"Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are"における重くルーズなピアノもやはり尋常ではない。だが、それゆえにジャズならではの感興が沸き上がるのも事実だ。ヒップでストレンジな、ジャズ濃度たっぷりの傑作。
- 1968年
- セロニアス・モンク・セプテット
- デューク・エリントン
- セロニアス・モンク・カルテット