Boston Bag

BIM
Boston Bag

「ソロとしての活動は、グループと少し離れて一人旅をさせてもらっている感覚。まるで自分探しの小旅行をしているような」というイメージから『Boston Bag』と名付けられたセカンド・ソロアルバム。2017年にソロ活動を開始し、アーティストとしてのスケールを拡大し続けるBIMが、その世界観をさらに押し広げた本作について語ってくれた。「前作の時は、周りに対してソロラッパーとしてのBIMをもっと分かってほしいという気持ちがあったし、世間が抱いているBIM像と実際の俺との間に誤解やフラストレーションもあって、そういう葛藤も詰め込んだ。でも、今回はもうちょっと晴れやかで楽しい気持ちのもと作りました」と話すように、『Boston Bag』には等身大のグッドヴァイブスが詰め込まれている。ゲストとして、活動を共にするCreativeDrugStoreの面々をはじめ、抜群の相性を誇るkZmやKANDYTOWNのKEIJU、気鋭のロックバンドであるNo Buses、ceroの高城晶平らが参加。また、プロデューサー陣はSTUTSやG.RINA、熊井吾郎など、前作とは対照的に多彩な顔ぶれだ。「いろんなプロデューサーに頼もうという意識はあまりなく、今の自分にハマったビートを採用させていただいたというだけ。例えば、俺のビートはこの作品に合わなかったから使わなかったし、他にも、(本作に)入らなかったビートメイカーの方もたくさんいたんです」と彼は語るが、それがさまざまなケミストリーを生み出している。その各曲について、BIM自身が解説してくれた。Get Gas (Hey You Guys)自分のソロ作品なのに自分以外の声が先に目立つので、今までの自分だったら絶対にやらなかったタイプの曲。in-d、VaVa、JUBEE、俺の4人でオンラインで話しながら録っていきました。もともと、(THE OTOGIBANASHI’Sの)メンバーとは一緒に住んでいて、今は離れて暮らすようになった。でも、久しぶりに会うとやっぱり楽しいし、3人に(自分のことを)紹介してもらったらテンションが上がるなと思って作った曲です。バックDJをやってくれているDJ二人がスクラッチで参加していて、他にも縁のあるラッパーたちが参加してくれています。Verandaもともとシングルとして発表していたんですけど、結構気に入っているので今回のアルバムに収録することにしました。この曲の原形は、去年、STUTSくんと一緒にフジロックに行ったキャンピングカーの中で聴かせてもらったんです。ビートを入れた音源を何度かやり取りして完成させました。STUTSくんと一緒に曲を作る時が、一番ラフかもしれないですね。三日坊主三日坊主の同志たちに贈る曲です。俺は基本三日坊主で、例えばダイエットもしなきゃいけないんですけど、なかなか続かなくてズボンのサイズが永遠に上がっていく。何かを続けることもすぐ止めるし、やる気がなくなって飽きることも多い。それで右往左往してるけど、何となく続いている。そこに着想を得て作り始めました。「こんな俺でも、楽しくできてるよ」って伝えたくて。One Love feat. kZmもともとG.RINAさんに「kZmとの曲をお願いしたい」とビートを依頼していて、「こういうのが似合いそう」とリナさんから送られてきたのが、このビートだったんです。kZmに聴かせたら「もうバースが書けた」とすぐに連絡があって、俺の家に来て一緒に作り始めました。あいつと一緒に夏の曲を作ったこともなかったし、これは完全に二人でタッグを組んで作った曲。「ドリームチェイサー号乗り込み オゾン層の中突破」という歌詞は、現在の息苦しくなるような社会についても反映しているんです。Jealous feat. KEIJUKEIJUくんは、部活の一個上の先輩みたいな存在で。会うと、帽子を脱いで「KEIJUさん!」ってあいさつする感じで、背筋が伸びるようなかっこいい先輩。このビートを聴いて、「これはKEIJUくんだ」と思って依頼したら二つ返事でOKしてくれました。KEIJUくんのラップが入った瞬間に全然印象が変わりましたね。先輩&後輩ではなく、ラッパー対ラッパーの関係性で曲を作ることができたと思っています。Cushionビートをもらって、1時間半くらいでできた曲。ソファに座りながら、クッションに「おまえだけだよ、俺を受け止めてくれるのは」と思いながら書いたんです。仕事終わりで帰ってきて、疲れた時に癒やしてくれるみたいな1曲ですね。想定内STUTSくんからビートを送ってもらって、返事をする時にすでにラップを乗せて送り返したんです。次の日に「めちゃめちゃいい!」ってSTUTSくんから電話をもらって。昔だったら、こういうタイプのビートをどうやって調理するのか、すごく考えていたと思うんですけど、今回はナチュラルにフロウが出てきました。これまで、ここまで振り切れたことはなかったので、俺の中で一つステージを脱出できたなと思えた曲でもあります。Tokyo Motion feat. 高城晶平もともとceroも好きだし、高城くんのソロ作もすごくよかった。俺だけじゃ出せない雰囲気があるので、高城くんに参加してもらいました。高城くんのパートには「コロナ禍」というフレーズが出てくるんですけど、まさにその時にしか書けない歌詞ですよね。今回、初めて共演して、レコーディングも一緒に行ったんですけど、高城くんは最初から完成形が見えていて、「こうしたらこうなる」というイメージが分かった状態でレコーディングしているように見えました。だから、最初からすでに完成に近い形が出てくる。正直、「まいったな」と思いましたね。Good Days feat. CwondokZmの曲じゃないですけど、ティーンエイジヴァイブスをずっと持っていたら、という解釈で書いた曲です。僕は部活でアメフトをやっていたんですけど、100人部員がいて、そこからスタメンになれるのは10人程度。残りの90人はルーザーだけど、3年間部活を続けていく。そのはかなさや愛しさみたいなもの、10代の葛藤みたいなものを表現したんです。No Busesの近藤くんがソロとして参加してくれていますが、バンドの活動とは違う彼のスタンスを見せてくれました。Time Limit熊井吾郎さんのビートテープ『Runnin’』に収録されていた曲がかっこよくて、「この曲、使ってもいいですか?」と聞いたのが制作のきっかけ。普段、なんとなくストーリーテリング的な歌詞の作り方はしないようにしているんですけど、この曲はちょっと別ですね。都会の夕暮れをイメージしていて、かいつまんだ話の雰囲気が、より濃い香りとして表れているかもしれません。Non Fiction feat. No Busesアルバムのジャケットに逃げている俺の姿が写ってるんですけど、この曲はまさに“逃げる”というイメージの曲。刑事ドラマっぽい感じもあるし。No Busesとは、以前、俺が彼らのライブを観に行って、ボーカルの近藤くんに「物販のところにいるんですけど、ちょっと会えませんか?」とDMを送ったところから交流が始まったんです。前からバンドやったり軽音楽部にいたりするヤツらは楽しそうだなと思っていたので、今回、バンドとのコラボは「やっとできた!」という感じ。レコーディングも楽しかったですね。サビのメロとか、自分の中で変わったなと思う部分も感じることができた曲です。

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