BAD HOP WORLD DELUXE

BAD HOP WORLD DELUXE

「前作から今までに至る3年間の全てを詰め込み、相当気合を入れた」とYZERRが語る、BAD HOPのサードアルバム。その言葉の通り、本作にはエネルギーに満ちた全16曲が並んでおり、今回、日本屈指のラップグループである彼らが、Apple Musicのために各楽曲を解説してくれた。インタビューに参加したのはYZERR、Tiji Jojo、G-k.i.d、Vingo、Bark、Benjazzyの6名。昨年ロサンゼルスで制作に取り組んだEP『Lift Off』や、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて無観客配信ライブとなった横浜アリーナという大舞台でのパフォーマンスを経て、スキルも意識も高まった彼ら。YZERRが「音楽的にちゃんと成立するもの、しっかりとしたクオリティのものを出すという意識は全員共通していました。細かいところまで気をつけてレコーディングに臨んだ」と言うと、G-k.i.dが「アルバム完成まで、1日も無駄にできないという感じだった」と続けた。 グループ結成からこれまで、フルスピードで動き続けてきた彼らだが、すでにBAD HOPの後には彼らに憧れる若いラッパーやヒップホップファンが多く存在する。YZERRいわく、「次にヒップホップシーンを担う若手の教科書になるようなアルバムにしたいと思った。そこは一番意識していた点だと思います。今、日本においてヒップホップカルチャーを築こうとする姿勢が大事だと思うし、自分たちがその姿勢を次世代に示していく存在にならなければ、と思う」と、これまでとは異なる意気込みで完成させた本作。自らが上げたハードルを軽く飛び越えるような、新たなスタンダードを提示する意欲作に仕上がった。 Intro Bark:アルバム全体につながるイントロのアイデアを出してくれたのはT-Pablow。こういうストーリーにしたらどう?って。そこから、みんなで書いていきました。 The Lead Benjazzy:今までのBAD HOPにはないビート感やギターのサウンドがフィーチャーされている曲。フロウのアプローチは何度も試しました。 G-k.i.d:それに、強気のビートなので個人的には一番苦戦した曲でもあります。 Round One YZERR:もともと同じテーマで3曲くらい作って、ギリギリ最後まで悩み、その中から一番いいモノを選んだ。最終的に選択したこのテイクは、中でも一番ノリがあって気合が入る感じがありました。 BAT MAN Benjazzy:ライブで絶対に盛り上がる曲が欲しくて作った1曲。あまりない感じのビートで、それを自分たちで咀嚼(そしゃく)して個々の色を出しました。 Vingo:Barkが途中から入るなどの変則的なアプローチもあって、ありがたくバースを蹴ることができましたね。 Bark:あえて4小節だけ、自分の声が低いトーンが入ってきたら面白いんじゃないかな?と思って、そういう構成にしたんです。 Project Boy YZERR:T-Pablowが中国に行ったときに団地の風景がカッコ良かったと言っていて。じゃあそれをテーマに、2人でラップしようと思って作った曲。過去を振り返って自分たちがどこから来てるか、という曲を一つは入れたかったので。 May Day G-k.i.d:掛け合いのある曲をやりたいなと思って、最初にYellow Patoが持ってきたビートを使って作り始めたんです。その後、Tiji Jojoも呼んでこのメンバーの曲になりました。リリックでは無観客で敢行した横浜アリーナのことにも触れて。アリーナの舞台の幕が開けた時は広い場所で、不思議な感じがありました。 Tiji Jojo:逆に新鮮というか、「もう二度とこんな経験することないだろうな」という気持ちでしたね。あまり味わったことのない気持ちで。 Suicide Tiji Jojo:曲を作っていたとき、時事的に自殺の問題が起きていた頃で。そういう曲は今までやったことがなかったですが、自分たちでやったらどうなるんだろうと思い、書き上げました。社会の問題を絡めて歌っているので、言葉選びにも気を付けましたね。 Chop Stick Benjazzy:“Chopstick”っていうテーマだけ事前に決まっていて、自由にやらせてもらった感じです。日本のイメージを打ち出したかったので、あえて分かりやすい日本語を選ぶようにして作っていって。 Vingo:“道場”とか“先生”とか、かっこいいというか、なじみのある日本文化の言葉を入れたいと思いリリックを書きました。 18 YZERR:アルバムの中に、こういうビートの曲が欲しいと思って書いた曲。フロウも滑らかな感じにしました。リリックは少し気恥ずかしいという気持ちもあって、自分だけじゃなく、いろんな人の意見も交えながら書いたものです。 High Land YZERR:この曲は、一番丁寧に取り組んだ楽曲かもしれないです。ラップも分かりやすい感じにしたくて。あとは、他のメンバーとのバランスを意識したり、とにかく声の感じがビートに負けないように気を付けてレコーディングしました。 Vingo:このフロウを決めるのに苦戦して、500回くらいテイクを重ねたんです。レコーディング現場は、スパルタな感じでしたね。 Choice Vingo:今回、フロウやレコーディングに対するマインドなど自分の中でいろんな課題があって、この曲を制作したときにそうした問題を一度にスタジオで体験できたんです。アドバイスもいろいろもらいながらレコーディングしました。「とにかくハイになれ」というアドバイスをもらったのが印象的です。 Wanted List Benjazzy:このトピック自体は2年くらい前からあったもの。自分たちのステージがどんどん上がっていく様子を、懸賞金が上がっていくことに例えたんです。 Bark:いつもと違う声の出し方やテンションの上げ方も工夫して、レコーディングが大変でしたね。 My Turn Tiji Jojo:この曲は本当に難しくて、一番記憶に残ってますね。簡単そうに見えてフロウが難しい。理想のフロウに日本語をはめていくのが大変だったし、言葉の音階も細かくて、とにかく苦戦して作った曲でした。 YZERR:この曲は俺とTiji Jojoが即興で歌いながら作っていった曲でもあるんですけど、リズムを保ちつつも、ビートの上にちゃんと声が乗っていて落ち着いて聞こえる…、そのニュアンスが難しいんですよ。今回は全体的にそういうシンプルに見えて難しいような箇所、細かいところにも気を配って制作していきました。 Bayside Dream YZERR:T-Pablowが大事に、慎重に進めていた曲。リリックでもいろんなことを歌っていて、パンチライン尽くし。単にスキルとかそういうものでは到達できない、すげえ曲です。 Benjazzy:T-Pablowが送ってくれたリリックを見たときに、これはいい曲になるなと思いました。何を歌えばいいんだろう、って結構考えて。川崎は工業地帯であり港町でもある。川崎の街についてずっと歌いたいこともあったので、自分なりに考えて、あのバースに昇華しました。 Super Wave G-k.i.d:重たい感じの曲も増えてしまったので、最後に気分が上がる1曲を据えたかったんです。今回のアルバムはどちらかと言うと攻撃的なリリックが多かったので、こういう雰囲気の曲は新鮮な気持ちでスラスラ書けましたね。 Hood Gospel Bark:このサウンド感で作ったら新しいんじゃないかって、T-Pablowが仕切って作った曲。アルバム制作中に最初にできた曲だったので、一番思い出深い曲です。リリックも、今まで書いたことのない内容で書きました。 YZERR:この曲から、アルバムの制作がスタートした。僕とT-Pablowで話し合って、この曲をアルバムの最後に持ってこようと決めました。

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