

生楽器と電子音を融合したバレエ音楽『Mere Mortals』は、アナログとデジタルのサウンドを、まるでオイルとバルサミコ酢のように混ぜ合わせたものだ。冒頭ではドローンのように持続する電子音の影が広がり、その上で弦楽器がピルエットのように舞っていて、それらは混じり合わないように見える。しかし、その後それらは見事に融合し、メロディとMIDIの区別がほとんどつかないようになる。『Mere Mortals』は、Floating Pointsとしても知られる作曲家Sam Shepherdにとって初めてのバレエ音楽だ。ギリシャ神話のパンドラの物語を新たに作り直したこの作品での彼は、翻訳の過程で失われた本来のアイデアの一部を復元しつつ、物語に彼自身の解釈も加えている。 この2025年の録音では、San Francisco Ballet Orchestraが2024年の初演時の演奏を再現している。その初演で過酷な仕事をしていたのはダンサーだけではなかった。Shepherdは、オーケストラピットと、ミキサー卓が置かれていた客席との間を走り回っていたと語る。ため息のような弦楽器、力強い金管楽器、そして電子的なエフェクトを混ぜ合わせることがこの作品では不可欠であるゆえ、クラシックのバレエ音楽においては一般的ではないサウンドエンジニアという役割が、指揮者と同等の存在となっているのだ。「この規模のミキシングは非常に複雑であり、まるで秘術のようです」とShepherdは説明する。「何千本ものワイヤーがあるかのような感覚です」 スティーヴ・ライヒを思わせる循環するモチーフがSan Francisco Ballet Orchestraを駆け巡り、それは反復する弦楽器によって時に打ち消されながらも高らかに鳴り響く金管楽器のビートの中で、渦巻くように展開していく。これはまさにパンドラの創造であり、そのほとばしるようなサウンドは、ヘーパイストスが土と水を混ぜ合わせてこのバレエの主人公であるパンドラを創り出す様子を想起させる。そしてそれは、同じように対照的な要素である電子音と生楽器をShepherdが用いていることとも重なる。ヘーパイストスは、プロメテウスが神々から火を盗んだことで人類を罰しようとしたゼウスの命令に従って行動していた。しなやかで力強い弦楽器のメロディが現れ、それがパンドラのテーマとなる。その胸を締め付けるような美しさは、箱が開かれるにつれて次第に熱狂的になっていく弾けるようなビートによって一層際立っている。 いや、この場合は箱ではなくつぼだ。Shepherdは、Natalie Haynesの2020年の著書『Pandora’s Jar』からインスピレーションを得ている。この本は、ギリシャ神話に登場する女性たちを考察し、彼女たちが大衆文化の中でどのように描かれてきたかを掘り下げたものだ。「Giulio Bonasoneが16世紀に制作した、エピメテウスがパンドラの箱を開ける場面を描いた版画では、ピトス(大きなつぼ)から飛び出す精霊は、真実、正義、平和といった善なる存在です。しかし、Rossettiが1871年に描いた絵画では箱になっていて、事態ははるかに不吉なものになっています」とShepherdは語る。「時がたつにつれて、パンドラの肯定的な側面は物のように扱われ、否定的な側面が道徳的な意味合いを持つようになったことに、私は興味を引かれました」 この作品は全13楽章中の第11楽章で、幻覚のような音が一気に噴き出す破滅的なクライマックスを迎える。「混沌としていて、ほとんど無調です」とShepherdも同意する。それは時に終末世界を描いたビデオゲームのようにも感じられ、うねるようにして広がり、そして爆発して予期せぬ静寂の中へと消えていく。それに続くビブラフォンとヴァイオリンのデュエットは、先に登場した“希望”のテーマを呼び起こし、Shepherd自身の物語を付け加える。「元の物語では、“希望”はつぼの中に残されますが、このバレエでは、“希望”がパンドラを説得して外に出してもらいます。“希望”は、自由に飛び去ることができる、快活な生き物として描かれています」 しかし、このイギリスの電子音楽作曲家のファンなら予想がつく通り、Shepherdは物事を甘ったるいままにはしておかない。彼が生み出したその生き物はヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」を思わせる高音のメロディに乗って舞い上がるが、大地は焼け焦げていて、降り立つ場所がないことに気付く。「つまり、希望から逃れられないということは絶望的なことなのです」とShepherdは言う。 より希望に満ちているのは、Shepherdが舞曲の世界に足を踏み入れたという事実だ。ファラオ・サンダースとロンドン交響楽団とのコラボレーションであり、2021年のマーキュリー賞にノミネートされた『Promises』に続く本作『Mere Mortals』は、Aszure Bartonが40人の出演者のために付けたオリジナルの振り付けとともにイギリスで定期的に上演されている。「エピメテウスとパンドラのロマンスを、ハープのソロとして書きました」とShepherdは言う。「それがパ・ド・ドゥになりました。私にとって初めての経験でした」。『Mere Mortals』が音楽的にこれほど成功していることを思えば、Shepherdの舞曲がこれで最後になることはないだろう。