UP TO THE MINUTE MIXTAPE - EP

UP TO THE MINUTE MIXTAPE - EP

「Nulbarichの一人称は“We”で、Jeremy Quartusは“I”。そこが一番違うところ」。Jeremy Quartusは、ソロ名義で発表する作品『UP TO THE MINUTE MIXTAPE』についてApple Musicに語る。Nulbarichのボーカリスト、JQとしてフロントに立ってきた彼は「Nulbarichをバンドだと思う人もいれば、僕のソロプロジェクトだと思う人もいて、どこか曖昧だった」と振り返る。「僕の中ではあくまで一人称“We”のユニットという感覚で、僕は広報担当のような立ち位置だった。でも活動するうちに、だんだん自分でも訳が分かんなくなってきて…。Nulbarichの活動休止を機に、自分の中で“We”に対する“I”を作ろうと思いました」 “I”を示す作品として、彼は今回、より自由度の高い表現ができる“ミックステープ”というスタイルを掲げた。「アルバムとかだと気負ってしまうから、もっと気楽に『こんなのできましたけど』みたいな感じで、まず今の僕を知ってほしくて。友達を家に呼んで、『最近こんなビート作ったんだ』とストックを順番に流すようなテンションで出したかった」。本作に先駆けて発表したソロ初シングル「Back To Paradise」ではChaki Zulu、セカンドシングル「Beat Tub」ではSTUTSをプロデューサーとして迎えた。そしてサードシングル「Relapse」は自らプロデュースを手掛けた。「最初の2作では『JQがソロやるってよ。僕なら、こんな感じでやるけどね』という提案を、すてきな人たちからもらった感じ。それをヒントにソロの道が開ける気がした。そのアンサーとして『Relapse』を作った時、ようやく自分の指針となるファンデーション(下地)ができたと感じました」。その“下地”の先に見えた景色を描く本作について、ここからはいくつかの楽曲を彼自身に解説してもらおう。 Knife & Fork 相反するものが背中合わせで一つになっていることを示す言い回しがあるけど、この曲の歌詞にも、“陰と陽”といった対比がいくつも出てきて、世界はそのグラデーションのバランスで動いてる気がする。もしその境目がどこかにあるとして、どんな二つが並べばちょうどいいバランスになるんだろう、と考えることがあります。“僕とあなた”の存在を2人で一つと捉えたとき、お互いを思い合えば本当に幸せになれるのか、とか。あるいは、幸せが不幸せとの対比で成り立つものだとしたら、全員が幸せになる世界なんてそもそも無理じゃないか、とか。そんなことを考えてると朝になっちゃうよね、という曲です。 BADASS この曲は全編英語詞なんですけど、僕が歌詞を書くときって、最初はほぼ英語なんです。カッコいいなと思って聴いてきたのが洋楽ばかりだったからだと思う。英語って、ハミングとか宇宙語に近い感覚がある。自分が理想とするメロディをハミングしたときに、英語の方が“空耳”みたいに自然と降ってきやすい。だから最初の段階では、英語で形にしていくことが多いです。よく“日本語より英語の方が譜割りがはまりやすい”とか“ノリが作りやすい”と言われるけど、それはあんまり感じなくて、そこは結局ボーカルのノリ次第じゃないかなと思います。 Warmer and Fluffier これまでやったことのない8分の6拍子の楽曲。少し“いなたさ”のあるスタンダードなメロディを口ずさんでいると、歌謡曲を歌っているような気持ちになった。気負わず素直に書いたら、結果としてすごく歌謡曲っぽい曲になったんだけど、気付けば一周して戻ってきていて、どこか自分のルーツをかじっている感覚があった。思い返してみると、邦楽のルーツ、例えば演歌にはジャズの影響が感じられる。メロディの落としどころや、起伏の付け方、感情の揺らぎが、すごくジャズっぽい。だからこの曲も自然とジャズ寄りになったんだと思います。今となっては、もっとゴリゴリのジャズアレンジにしてもよかったな、とも思う。そのあたりの正解を、僕はまだ持ち合わせていないんでしょうね。