

50年以上にわたるヒップホップの歴史の中で、クイーンズブリッジはこのジャンルの礎であり、支柱の一つとして揺るぎない存在感を放ってきた。ニューヨークの外れにあるこの地区は、かつてはMC Shanが象徴的なシングル「The Bridge」でラップ界に挑戦状を叩きつけた場所として知られ、さらに1990年代から2000年代にかけては、同じくこの住宅団地出身の2人であるハヴォックとプロディジーによって、さらにその地位が強固なものとなった。彼らがモブ・ディープとしての活動を本格的に軌道に乗せたのは1995年のアルバム『The Infamous』であり、その後の20年間にわたり、リリック面でも音楽面でも圧倒的な影響力を保ち続けた。もし2017年にプロディジーが早すぎる悲劇の死を遂げていなければ、彼らは今もなおユニットとしてクイーンズブリッジを代表し続けていたに違いない。それを体現しているのが、今回リリースされたアルバム『Infinite』である。 彼らのラストアルバムと見なされていた2部構成の『The Infamous Mobb Deep』から10年以上がたった今、プロディジーの死後に完成した今回のコラボレーション作は、デュオの遺産をたたえるだけでなく、彼らが築き上げたものを現代の中で生きた芸術として前進させようとする試みでもある。プロダクションは、プロディジーの最も頻繁な共同制作者の一人であるジ・アルケミストと、相棒のハヴォックが分担。アルバム『Infinite』は、そのビートとライムによって、まさに時代を超えた説得力を放っている。「My Era」では黄金期ヒップホップのヒーローイズムにうなずき、「Taj Mahal」では家からカジノまでを流れるように巡り、「Gunfire」では敵に対して冷徹かつ鋭く威嚇する。そのどの曲にも、熟練したラップのベテランたちの心境が無理なく刻み込まれている。 ノスタルジーもまた、この作品の重要な一部だ。荒々しい「The M. The O. The B. The B.」に登場するBig Noydや、より祝祭的な「Pour The Henny」に参加するNasの存在が、クラシックなクイーンズブリッジの雰囲気を色濃く漂わせている。実際、客演の多くは『The Infamous』時代にモブ・ディープと縁の深かった仲間たちで、ウータン・クランのゴーストフェイス・キラとレイクウォンは「Right Back at You」での関係を再現するかのように、「Clear Black Nights」に再登場している。この作品には、こうした“遺作”という形のアルバムではめったに感じられない本物の生命力と鮮やかさが息づいている。中核をなす2人の息の合った掛け合いが「Against The World」や「Score Points」といった楽曲を生き生きとさせ、さらにクリプスとの共演曲「Look At Me」では、奇跡の再会のようなスピリットまでもが吹き込まれているのだ。