

2022年に解散したヒップホップのスーパーグループ、ブロックハンプトンがグループ最後のアルバムとしてリリースした作品は『The Family』であったが、蓋を開けてみると、それはグループの創始者であり事実上のリーダーでもあったKevin Abstractのソロアルバムのようなものだった。というのも、そのアルバムにボーカリストとして参加していたのはKevinだけだったからだ。ブロックハンプトンの解散後、翌年には正式なKevin Abstractのソロアルバム『Blanket』がリリースされる。そこではラップから完全に切り離されたムーディなインディーロックやグランジといったテイストが発揮されていた。そしてそれから2年後、更なる続編となる『Blush』では、原点回帰的なサウンドに迫っている。今作において、Kevin Abstractはよりキュレーター的な役割を担っており、彼自身ではなく、コラボレーターに、よりフォーカスが当たるような構成になっている。元ブロックハンプトンのメンバーである Ameer Vann、Romil Hemnani、Kiko Merleyに加え、オルタナティブラップ界の英雄ダニー・ブラウンやジェイペグマフィア、そしておなじみのドミニク・ファイクなど、多彩なフィーチャリングアーティストらが集う。 アルバムには、Love Spells、RoRo、E Bleu、Makana XO、Truly Young、Diego、Drigo、DERBY、そしてDevanといったヒューストンを拠点とするミュージシャンたちが全18曲に参加しており、アルバムのタイトルは、ユルいコレクティブでもある彼らの総称の意味も併せ持つ。グライミーなテキサスブーンバップやオルタナティブロック的な失恋バラード、そして「Geezer」で聴けるサブライムを彷彿させるスカジャムなど、Kevin Abstractがこれまでに歩んできた多様な人生の側面を包み込むようなスケールに仕上がっている。