MUSIC

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プレイボイ・カルティは『Whole Lotta Red』以降の約4年間、完全に姿を消していたわけではなく、フューチャーやLattoやトリッピー・レッドといった面々のアーティストと共演してきた。それでも、彼の巨大に膨れ上がったファン層が新しいアルバムの可能性について熱狂的に騒ぎ立てる声は止まなかった。その新作は『I AM MUSIC』と呼ばれていたが、最終的にはシンプルに『MUSIC』というタイトルでリリースされることになる。待ち時間の長さに応えるような大作となったアルバムは、名語り手プレイボイ・カルティの待望の到来を告げる「POP OUT」や「CRUSH」といった激しいレイジラップの嵐と共に幕を開ける。全30曲、77分に及ぶ本作では、アグレッシブに歪ませ、シンセを多用した彼の悪名高いポストトラップと、著しくポップ度を増したサウンドの間をシフトしているが、それでいてすべてが間違いなく彼のスタイルの範疇に収まっている。 当初カルティは話題のアルバムをリリースする際の慣例にのっとり、参加アーティストの名を伏せていた。しかし、「GOOD CREDIT」でのケンドリック・ラマーの鋭いラップや、「TRIM」でのフューチャーのエモーショナルな叫び、もしくは「TWIN TRIM」で彼の主力コラボレーターであるリル・ウージー・ヴァートが意気揚々と駆け抜ける声を聴き逃すことは不可能だ。本作における大胆な試みの最もあからさまな例といえば、「RATHER LIE」でのザ・ウィークエンドの存在感あるフィーチャリングかもしれないが、「PHILLY」でのトラヴィス・スコットや、「WE NEED ALL DA VIBES」でのヤング・サグとTy Dolla $ignのタッグもまた、プレイボイ・カルティを軸にしたこの形をさらに説得力のあるものにしている。 こうした仲間に囲まれながらも、カルティ自身の個性はより一層光り輝き、「I SEEEEEE YOU BABY BOI」ではビデオゲーム的なアルペジオの高まりに乗せてかすれたファルセットのようなボーカルを響かせ、「COCAINE NOSE」ではシネマチックなノイズの中でしゃがれた唸り声を急旋回させる。そして「RADAR」のサウンドには、未来志向にとどまらない、2010年代初頭のアトランタサウンドへのノスタルジックともいえる敬意が感じられ、そのビートはクラシックな1017 Brick Squadのテープを彷彿させるところもある。

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