TAKE OFF 離陸

TAKE OFF 離陸

自分たちの理想とする音楽へと突き進む彼らの強いエネルギーが実を結んだ傑作。“ニューミュージックの旗手”と呼ばれ、アイドル的な人気まで獲得していたTULIPは、元々はビートルズへの憧れから音楽の道に進んだ若者たちで、その影響を日本語による新たなポップサウンドに昇華させるという目標を持っていた。この3作目ではその基本に向き合い、まさにビートルズを指向したサウンド作りに徹した。各々が磨き上げた演奏力や編曲のセンスに加え、メンバー同士の役割も多様化した。例えば財津和夫(Vo/G/Key)が書いた曲を姫野達也(Vo/G/Key)が歌い、また安部俊幸(G)が作詞作曲を担当した「ハートせつなく」を財津和夫が歌う。さらに上田雅利(Dr)と吉田彰(B)もソングライティングに加わり、バンドとしてのまとまりが強まった。冒頭から短い曲があったり、「悲しみはいつも」以降の3曲はビートルズの『Abbey Road』を意識したメドレーのスタイルだったりと、奔放さを見せている。名曲の誉れの高い「青春の影」は、1974年4月発表の本アルバムから2か月後にアレンジを変えたテイクをリカットシングルとしてリリースし、ヒットを記録。こうしたポップな楽曲の魅力も高い本作は、音楽ファンに深く愛され続ける一作となった。