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70年代末のニューヨークでパンク/ポストパンクシーンの真っ只中に身を置き、CBGBなどでそのエネルギーを体感してきたレックを中心に結成され、六本木で開催されていた"東京ロッカーズ"を中心に活躍していたバンド、FRICTION。そんな時代の空気感とエネルギーを詰め込んだのが、1979年に坂本龍一をプロデューサーに迎えて制作されたメジャーデビューアルバム「軋轢」だ。ここで聴くことができるのは、70年代末のニューヨークとロンドンを震源地として世界中に波及していたパンク/ニュー・ウェーブという破壊的なパワーが飛び火し、東京で燃え上がったとも思えるオリジナルなパンクサウンド。タイトで激しいドラム、切れ味鋭いギター、そして骨太でヘヴィなベースと乾いたヴォーカルが織りなす、神経を過剰なまでに研ぎ澄ましたヒリヒリするような緊張感と、触ると火傷をしそうなエネルギーあふれるソリッドなサウンドは、聴く者に戦慄を与え、心を鋭く深く抉ってくるような、そんな暴力的なまでの快感に満ちている。