

涼しさと熱さとを併せ持ったバンド・アンサンブルが国内外で熱狂的な人気を博しているインストゥルメンタル・ロック・バンド、te'。メジャー初リリースとなる本作で、これまで繰り広げてきた精巧なサウンドを彼ら4人はさらにダイナミックに展開している。30文字という独特の長い楽曲タイトルや、インストゥルメンタル・バンドのイメージから、te' の音楽は一見すると難解で抽象的なものにも感じられる。だが、その中にどっぷりと身を浸してみると、彼らの音楽が純然たるロックの衝動や、挑戦的なクリエイティビティで満ちていることがはっきりと伝わるだろう。抽象的どころか、te' の音楽は分かりやすいほどメラメラと燃え上がっているのだ。冒頭の “決断は無限の扉を開くのでは無く無限の誤謬に『終止符』を打つ。” は、ロック・ファンなら血潮が燃えたぎるであろうハードコアなキラー・チューンであり、甘いギターのメロディがなんとも耽美的な “天涯万里、必然を起こすは人に在り、偶然を成すは『天』に在り。” は、te' の音楽のダイナミズムが結晶した1曲だ。“夜光の珠も闇に置けば光彩を放つが白日に曝せば『魅力』を失う。” のポストロック的アプローチも、このバンドの大きな持ち味の一つ。テンションの高いサウンドが、音楽を奏でる自由さや、彼ら自身の熱い興奮を何よりも雄弁に語っている。