穏やかさの中に、切実な思いと深い祈りが込められた4作目のアルバム。senoo ricky(Dr)、宮田あずみ(コントラバス)、山内弘太(G)からなるバンドメンバーを中心に、“重奏”の形態で共に活動してきたミュージシャンも迎え制作された。生活のワンシーンを切り取ったようなジャケット写真からも分かるように、日常を映し出す歌が多く並ぶが、その奥には日常を脅かすものへの懸念が感じられる。「正気」では絶え間なく繰り広げられる論争を静観しながら“私は本気です 戦争しないです”と告げる。「無言」では不穏な予感を抱きながら、生きていくための言葉を探りペンを執る。「ハチス」では“ただ事と思えない”事象に思いをはせながら、子どもたちの無事を願う。そうした強い思念と何気ない日常を同時に描いた本作は、これまでの中で最も折坂悠太の人となりを伝えるものとなった。大丈夫とは思えない時もちゃんと生き延びるために、この音楽は優しい呪文のように、人々の心に浸透していくだろう。
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