

「感情の揺れ動きをこれほど精密に描き出せるジャンルが他にあるだろうか。これでもかと、心の中をえぐってくるような曲と演奏を選びました」と、YaffleはApple Music Classicalのために選曲したプレイリストについて語る。藤井 風をはじめとするポップアーティストのプロデュースで注目を集め、映画音楽の作曲でも高い評価を受ける気鋭のプロデューサー/トラックメイカ一/作曲家だ。一方、国立音楽大学で作曲を学んだYaffleは、2023年にドイツのグラモフォンからソロアルバム『After the chaos』をリリースし、クラシッククロスオーバーのシーンでも熱い視線を浴びている。しかし、思春期の頃の彼が抱いていたクラシック音楽のイメージは「高齢者が聴く、落ち着いた音楽」。それを変えたのは高校生の時に親友が貸してくれたMDだった。そこにあったクラシックの楽曲は「当時の自分の激流のような感情の流れに、時に寄り添い、時にあらがいながら支えてくれた」という。 今回のプレイリストの冒頭を飾るのは、エルガーによる『弦楽四重奏曲(String Quartet)』の第2楽章で、Yaffleは「主題がとても美しく叙情的だが、なにより再現部のエモさがとんでもない」と表現する。同じくエルガーの楽曲で親友のMDにも入っていた『チェロ協奏曲 ホ短調 作品85』の第1楽章については「冒頭のチェロの重音に打ちのめされた。人間のおどろおどろしいものを全部入れて煮詰めたような、すごい迫力を感じた」と語る。また、ヴォーン・ウィリアムズによる『交響曲第5番(Symphony No. 5)』の第3楽章は「初めて聴いた時、あまりの美しさにしばらくパソコン前の椅子から動けなかった。とても壮大で深遠であり、祈りのように聞こえる」と言う。このプレイリストでは、他にもブラームス、フォーレ、ラヴェルから、マックス・リヒター、坂本 龍一まで、Yaffleがセレクトしたエモーショナルなクラシックがたっぷり堪能できる。