

NHK交響楽団の首席フルート奏者、神田寛明の下で学び、プロのモデルとしても活躍する演奏家のCocomi。フルートという楽器について熟知している彼女だが、このプレイリストではフルート演奏の音源ではなく、彼女にとってのヒーローである女性の音楽家たちを取り上げてたたえている。伝説的なチェロ奏者、ジャクリーヌ・デュ・プレの録音は2トラック選んだ。「ジャクリーヌ・デュ・プレは私のお気に入りのチェリストの一人です」とCocomiは熱く語る。「彼女の演奏には独特の女性らしい優美さがあると同時に、心の奥底の激しさや強さを伝えてくれる。だから、彼女の音楽を愛しているのです」 Cocomiに影響を与えたもう一人の女性は、フランスの歌手サビーヌ・ドゥヴィエルだ。「私がプーランクに恋をするきっかけをくれたソプラノ歌手です。彼女が歌う『Les chemins de l’amour(愛の小径)』には大きなインスピレーションを受けました。私のファーストアルバム『de l'amour』は、この曲を中心に構成したものです」 もちろん、ここには女性の作曲家も登場する。セシル・シャミナードもその一人であり、彼女の魅惑的な曲「Le lisonjera(へつらう女)」が、ピアニストJoanne Polkのバージョンでセレクトされている。また、リリ・ブーランジェの作品から、ヴァイオリニストのジャニーヌ・ヤンセンが演奏する「Nocturne(ノクターン)」と、ピアニストのエリック・ル・サージュが奏でる「D'un vieux jardin」の2曲が選ばれている。 一方、女性らしい精神性は、女性だけに限られないことを示すかのように、ベートーヴェンによる優しくて表情豊かな「ロマンス第2番 ヘ長調」や、Cocomiが特に好きだというチャイコフスキーの『ロココ風の主題による変奏曲』からの抜粋も並んでいる。「この曲は私にとって、人が愛する女性を想像しているときのような、深い優しさと甘美な感覚を思い出させてくれるものなのです」