松任谷正隆:プロデューサー

松任谷正隆:プロデューサー

松任谷正隆がプロデューサーとしてのキャリアを重ね始めたのは1970年代半ばのこと。それまではキーボードプレイヤーとして実績を積んでいた彼がこの頃からアレンジャーとして開眼し、やがてはアーティストの表現世界に深く関与するプロデューサーとしての仕事も受け持つようになったのだ。その数においてはもちろんユーミン(松任谷由実)が圧倒的に多いが、シンガーソングライターやシティポップ寄りのアーティストからアイドルポップまで、松任谷のレンジは広く多彩だ。また、基本線として歌ものを手掛け続ける一方で、インストゥルメンタルの楽曲で優れた作品を残している点も要注目。そんな彼によるプロデュース作は、洋楽のロックやポップスの影響を受けながらも、日本的な情緒を絡めた作品が多い。諸作のクオリティの高さはもちろん、そうした繊細な味わいがあるのもこの名プロデューサーの個性の一つといえるだろう。