

大野雄二は、学生時代からジャズピアニストとして活躍。1970年代からはCM音楽の仕事をきっかけに、作曲家/編曲家/プロデューサーとしての才能も開花させ、アニメ『ルパン三世』シリーズや映画『犬神家の一族』など映像作品の音楽から、アイドル、ポップ、歌謡曲、演歌など、ジャンルを問わず数多くの楽曲を手掛けた。ポップで親しみやすいメロディに、ジャズの洗練されたハーモニーと、ブルースやソウル、ラテン、ボサノヴァなどの都会的なリズムをミックスさせたサウンドは、当時の日本のポピュラー音楽界に新鮮な風を吹き込んだ。「小さな旅」に代表される童謡のような懐かしいメロディから、松田優作や柴田恭兵などの俳優が歌うブルージーでハードボイルドな楽曲まで、その守備範囲の広さは、プロデュース力も含めて彼の奥深い音楽性ならではといえる。その洗練された多くの作品は、現在のJ-Popの礎となるスタイルとして、世界的なシティポップや和製グルーヴのブームでも高く評価されており、世代や国境を超えて支持されている。