多くの人々にとって合唱団で歌うという行為は、単なる音楽的体験ではなく、極めてソーシャルな体験でもあるといえる。人類が誕生して以来ずっと、私たちは声という生まれ持った“楽器”を使って音楽を奏でてきた。合唱音楽は原初的な一面を持つ一方で、古楽の時代から複雑な構造を形成し、高度に知性的な音楽としても発展してきたのである。単旋律の聖歌やモテットから現代のカンタータやミサ曲に至るまで、合唱音楽は人間そのものの本質と同じように実に多様だ。楽器の伴奏が付くものであれ、そうでないものであれ、これまでに無数の作曲家たちが多くの合唱曲を書いてきた。聖なるものも世俗的なものも含めて、合唱音楽は非常に豊かなバリエーションと歴史を持っているのだ。