ニルヴァーナ『MTV Unplugged in New York』

ニルヴァーナ『MTV Unplugged in New York』

1993年11月に収録された『MTV Unplugged in New York』は、ニルヴァーナを騒々しいグランジパンク・バンドではなく、内省的なローファイフォーク・アクトとしてまったく違う観点から捉えている。そぎ落とされたセッティングは、特にリードボーカルだった故カート・コバーンにぴったり合っていた。マーチンD-18Eのアコースティックギターをかき鳴らす彼は、自らの激しい情熱を内側へ向けるようにして、「Come As You Are」といった挑戦的な楽曲の数々を物悲しい幻想曲へと、そしてLead Bellyの代表曲として有名なトラディショナルな一曲「Where Did You Sleep Last Night」のカバーを痛々しい苦悩に満ちた嘆きへと変貌させたのだった。