

ソロアーティストとして、そして、ハートやThe Lovemongersのメンバーとして、ナンシー・ウィルソンはいつだって、アコースティックの楽器をロックの文脈で生かす斬新な方法を編み出してきた。ハートの1976年のヒット曲「Crazy On You」で、フォーク/ブルースのアコースティックギターを軽快に演奏し、曲の核となる速弾きへと移行する彼女の姿は、クラシックロックの象徴だ。ハートのサイドプロジェクトだったThe LovemongersによるLed Zeppelinの「Battle of Evermore」のカバーでは、彼女の奏でるマンドリンがファンタジーの世界を呼び起こす。そして、映画『Jerry Maguire(邦題:ザ・エージェント)』のテーマソング「We Meet Again」では、彼女の滑らかで素早いフィンガーピッキングを堪能できる。