トランペットの世界

トランペットの世界

勇ましさを演出することを得意とするトランペットの音は、ファンファーレに欠かせないものとして広く親しまれてきた。軍隊の出陣を告げるのも、マーラーの『交響曲 第5番』の冒頭でドラマチックな音楽の旅の始まりを宣言するのもこの楽器だ。トランペットの原型となったのは、旧約聖書の一書、民数記の中でモーセが神の命を受けて作ったラッパだとされている。それから数千年かけて進化を遂げたこの楽器は、その華やかな響きによってバロック時代の大作曲家たちに愛され、ようやく現在の形に近付いてきた1800年前後には、ハイドンとフンメルの手による協奏曲にフィーチャーされた。そしてオーケストラに組み込まれるようになると、ベルリオーズをはじめとするロマン派の作曲家たちによって、楽器としての新たな可能性を引き出されていったのだ。さらに20世紀にジャズに欠かせない楽器としてのポジションを確立したトランペットは、現代音楽や映画音楽の中でも効果的に使われている。

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