クラウス・マケラ:Impulses

クラウス・マケラ:Impulses

「私はよく音楽を聴いています」とクラウス・マケラはApple Music Classicalに語る。「おそらく一日に2、3時間は聴いています。自分が指揮をする音楽とはまったく違うものもよく聴きます。そうしないと、自分自身のアイデアがどんなもので、他の人の解釈はどんなものなのか、脳が混乱してしまうからです。私が音楽に求めているもの、それは心が動かされることです。ですので、このプレイリストは意識の流れのようなものになっていると思います」 そして、マケラが言うところの“意識の流れ”のようなこのプレイリストからは、音楽的な意味での相互関係や音楽の変遷を物語るものも多く見いだせるはずだ。ブラームスの悲劇的な『交響曲第4番』からの楽章の後には、この交響曲の終楽章におけるパッサカリアの主題のヒントになった旋律を含むバッハのカンタータが続く。 チェロ奏者でもあるマケラはこの楽器に敬意を表して、彼のヒーローであるロシアのチェロ奏者、ダニール・シャフランが、作曲者であるショスタコーヴィチ自身が弾くピアノとともに録音した『チェロ・ソナタ』もセレクトしている。「チェロ奏者のスティーヴン・イッサーリスは、シャフランのことを“チェロを弾くフォークシンガー”と呼んでいます」とマケラは言う。「まったくその通りです。彼は詩人です。彼の音楽作りは信じられないほど自由なのです」 もちろんここには、マケラの母国であるフィンランドの作曲家、シベリウスとラウタヴァーラの代表的な作品もあるし、同じくフィンランドの出身で2023年に亡くなったカイヤ・サーリアホが書いた、ホルストの『惑星』の一部分であるかのような小品「アステロイド4179:トータティス」もある。「とてつもなく美しい曲です。この曲を選んだのは、非常に短い時間の中に作曲家としての彼女のすべてが表れているからです。リヒャルト・シュトラウスのフォルテには50の色合いがありますが、サーリアホのピアニッシモにも50のニュアンスがあります」 そして、マケラの偉大な先達であり、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現在のロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団)の名指揮者ウィレム・メンゲルベルクの音源も並ぶ。彼が1939年に録音したマーラーの『交響曲第4番』は「かけがえのないもの」だとマケラは言う。「メンゲルベルクは、しばしばマーラーをアムステルダムに招いて、マーラー自身の曲を指揮してもらっていました。メンゲルベルクは前もってオーケストラとリハーサルを行っていたので、マーラーが到着した時、楽団員たちはすでに楽曲の一部となっていました。そして、彼はマーラーとオーケストラとのリハーサルにも同席して、そこでマーラーが行ったことを正確にメモしました。ですので、この音源は資料として非常に重要なのです。メンゲルベルクは、録音までにこの交響曲を120回ほど指揮しています。音源にはいくつか奇抜に思えるところもありますが、それでも驚くほど素晴らしい演奏であることに変わりはありません。メンゲルベルクによるブラームスの『交響曲第1番』も私の人生を変えた音源です。とにかく生き生きとしているのです」

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ