

力強い声と海に生きる男の歌で知られる演歌歌手、鳥羽一郎。三重県出身の彼は漁師の父と海女の母に育てられ、自身も遠洋漁業の漁船員として働いた経歴を持つ。しかし歌手への思いを抱き続けた中で、作曲家の船村 徹に歌声が認められ、27歳で上京し内弟子としての下積みを経験。やがて1982年に「兄弟船」で待望の歌手デビューを果たし、ヒットを記録する。30歳になっていたこと、その前年に実弟の山川 豊がデビューしていたことなどで、焦りを感じていた末の遅咲きだった。その後も豪快な歌いっぷりと飾らない人柄が親しまれた鳥羽は、音楽賞での最優秀歌唱賞受賞をはじめ、NHK紅白歌合戦(初出場は1985年)では1995年から2007年まで13年連続で出場、人気と実力を兼ねた演歌歌手として活躍する。一方で海難遺児支援事業にも尽力を続けており、その功績が評価されて紺綬褒章を幾度も受章している。また長男の木村竜蔵、次男の木村徹二も歌手として活動しており、演歌歌手一族の代表格としての人気も誇る。その歌声はキャリアを重ねるごとに味わい深さを見せ、魅力を増し続けている。