はじめての 稲川淳二
Apple Music


稲川淳二の代名詞ともいえる夏の風物詩、怪談。声のトーンを落とし比較的早口な江戸っ子口調で語り出す。風、電話、ドア…擬音語と沈黙の間(ま)を織り込みながら巧みに場面を描写し、ライブ感あふれる構成でストーリーを立体化、欠けたピースが一枚ずつ徐々につながるように、聴き手を稲川ワールドの深部へと引き込んでゆく。その世界観は、ジェットコースターのような、裏道にひっそりと佇む駄菓子屋のような、旅先へいざなう夜行列車のような、日常が非日常へと切り変わる瞬間の怖さがある。加えてエンターテインメントとしての、もう一度体験したくなるような独特の楽しさや味わいが残る。「死の旅館」、「樹海からの誘い」ほか代表作、人気作を中心にセレクト。