

国際的に高い評価を受け、20世紀後半の日本を代表する作曲家の一人となった武満徹 (1930~1996年)。ほぼ独学で作曲を学び、1957年に初演した「Requiem for Strings(弦楽のためのレクイエム)」がストラヴィンスキーに認められ、注目を集める。その後、1967年には、尺八と琵琶とオーケストラのための作品「November Steps(ノヴェンバー・ステップス)」が大きな称賛を浴び、いよいよ世界的な名声を獲得した。西洋の前衛的な手法をベースにしながら、水、雨、風、鳥といった自然のイメージを描き出す武満の作風はオリジナリティにあふれたもの。クラシカルなオーケストラ作品から映画音楽、舞台音楽、電子音楽、ポップソングまで、幅広いジャンルを手掛けている。それらに共通する繊細で研ぎ澄まされた独自の響きは“タケミツトーン”と呼ばれ、世界の音楽ファンを魅了した。