

映画やドラマで強烈なオーラを漂わせる梶 芽衣子は、歌手としても異色の存在感を放ってきた。1970年代に数々の任侠映画や『女囚さそり』シリーズで人気を博した彼女は自身の主演作の主題歌を歌うなど、映画と並行する形でレコードを発売。そのスタイルは、歌謡曲や演歌、フォークに近い情念に満ちた楽曲を迫力のある歌いっぷりで聴かせるものだ。中でも1972年に大ヒットした「怨み節」は歌手としての代表曲である。熱狂的なファンを公言するクエンティン・タランティーノ監督は2003年の映画『キル・ビル』で梶の歌を使用し、これにより彼女は世界中から注目を浴びることとなった。もっともその歌は映画とは別に制作されたものも多く、ソフトロック的なアプローチを見せた時期などはまた違った味わいを持つ。一時期は歌手活動から離れていたが、2009年以降は緩やかなペースながら新たな思いで吹き込んだ楽曲の数々を発表している。