

村下 孝蔵は、1980年にデビューし、いくつかのヒット曲と人々の心を打つ多くの歌を残したシンガーソングライターである。その音楽性は1970年代フォークからの影響を残しつつも、恋愛模様や追憶といった人の内面を表現する歌には叙情性があふれている。また "初恋" や "踊り子" などに顕著なように、どことなくレトロな日本の情緒が感じられるのも特徴だ。バブルに沸いた当時の主流のヒットソングとはどこか一線を画す曲であったが、そのぶん、時代をまたぎながらも聴き継がれている。村下は1999年に46歳の若さで逝去したが、彼の作品は今なお人の心に寄り添い、愛されている。