

南こうせつは心のままを歌うシンガーソングライターである。「神田川」のような名曲を残したかぐや姫時代に続き、1975年にソロに転じて以降も「夢一夜」(1978年)などのヒット曲を放つ。もっとも、こうせつの音楽の真価は『こんな静かな夜』や『ひとりごと』に代表されるアルバムにこそ表れており、その歌の多くには素直な人間性がナチュラルに反映されている。また、1976年に日本人のソロアーティストとして初めて日本武道館でワンマン公演を開催したり、『サマーピクニック』と題した大規模な野外コンサートを幾度も敢行したりと、ライブシーンにおける先駆的な存在でもある。音楽界の重鎮的な存在となってもフットワークの軽い活動をポジティブに続け、下の世代からも常に慕われるこうせつは、まさに民衆の心を歌うフォークシンガーだ。