

ロッシーニやドニゼッティと並ぶ、19世紀前半のイタリアオペラを代表する作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニ。シチリア島カターニアで生まれ、のちにイギリスやフランスで活躍した彼は、6歳で最初の作曲を手掛けた神童だった。20代で発表したオペラ「ビアンカとフェルナンド」や「海賊」などの成功で、一躍ロッシーニの後継者と目されるように。その後、中期の傑作として名高い「夢遊病の女」では叙情的な旋律とコロラトゥーラ(急速で技巧的なパッセージ)を融合して新境地を開拓。続く「ノルマ」でも、真摯で崇高な音楽性と人物描写を実現し、当時の専門家から大絶賛された。最晩年にはパリで「清教徒」を初演して大成功を収めている。