ロシア出身の指揮者ワシリー・ペトレンコは、2004年に28歳でロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団に客演したのをきっかけに、オーケストラの音楽を21世紀へと導く存在として躍進した。ペトレンコは同オーケストラに新たな息吹を吹き込んで活況をもたらし、また2013年から2020年にかけては首席指揮者としてオスロ・フィルハーモニー管弦楽団を率いた。ペトレンコのレパートリーは多岐にわたるが、特にロシア音楽の演奏で高い評価を受けており、中でもロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団と共に奏でた、ショスタコーヴィチによる交響曲の全曲録音は、世界中の多くのリスナーを魅了した。また、ストラヴィンスキーの『The Rite of Spring(春の祭典)』の解釈における快活さと重厚感の見事なバランスは、彼の絶妙なタッチのたまものであるといえる。