

芸術や思想の自由な解放を謳ったロマン主義の精神に基づいて、古典派音楽を多彩に発展させた19世紀のロマン派音楽。世紀の後半に入ると、独墺圏ではリストやワーグナーの登場によって、古典派によるソナタ形式や、全音階による調性の崩壊を導くきっかけになった後期ロマン派の音楽が主流になってゆく。彼らは大規模なオペラや交響詩を次々に発表。その流れに敢然と反対したのがヨハネス・ブラームスだった。厳しい自己批判の精神を持つ彼は、オペラ以外の全ジャンルに傑作を残したが、最初の交響曲を完成するのに20数年かかるなど、遅筆で寡作の人でもあった。その音楽は、生地の北ドイツを想わせる憂愁を帯びた音色と厳格な構成が特徴。