はじめての ヒドゥル・グドナドッティル

はじめての ヒドゥル・グドナドッティル

アイスランドのチェロ奏者/作曲家であるヒドゥル・グドナドッティルの音楽は、表面的には穏やかなものだが、その内側には、暗闇、ミステリー、危険といった要素をたたえている。彼女の仕事で最もよく知られているのは映画音楽であり、2019年のヒット作『Joker』の「Call Me Joker」では、全体を覆うストリングスとたたきつけるようなパーカッションを駆使して激しい恐怖心を呼び起こした。一方、ソロアーティストとしての楽曲、例えば「Elevation」では、繊細な電子音響と、音程をゆっくりと引きずるように上下させる演奏の効果によって、薄明の中にかすみがかった別世界を現出させる彼女の持ち味が発揮されている。つまり、グドナドッティルが生み出すサウンドは、リスナーを不安な気持ちにさせながらもうっとりとさせることができる、特別な魅力を持っているのだ。