

1979年から1981年の約2年間という短い活動期間にもかかわらず、当時の日本の歌謡界に強烈なインパクトを残したブラスロックバンド、スペクトラム。キャンディーズやサザンオールスターズなど、多くのアイドルやアーティストのサポートメンバーとして活動していた新田一郎(Tp/Vo)と兼崎順一(Tp)を中心に結成。1979年ファーストシングル「トマト・イッパツ」とアルバム『スペクトラム』をリリース。2トランペットと1トロンボーンによる一糸乱れぬブラスアンサンブルと16ビートのファンキーなリズムを軸に、楽曲によって、新田一郎のファルセットボーカル、ベースの渡辺直樹のソウルフルなボーカル、ギターの西慎嗣のロックボーカルという3人のボーカリストをフィーチャーした。またライブやテレビ出演では、中世の欧州の戦士をイメージさせる黄金の甲冑に身を包み、全員で派手なステップを踏みながら演奏するなど、すべてが規格外の存在で大きな注目を集めた。バンド解散後は、メンバーそれぞれがソロアーティストやセッションミュージシャン、作曲家や編曲家、プロデューサーとして活躍し、1980年代以降のJ-Pop界で大きな役割を果たした。近年、日本のシティポップが注目を集める中、SNSを中心に彼らの代表曲「F ・L ・Y」がワールドワイドにヒットを記録するなど、再評価の機運が高まっている。ここでは彼らの代表曲と人気曲を網羅、日本が生んだ早すぎたブラスロックバンド、スペクトラムの魅力を堪能しよう。