

フィンランド最大の巨匠で、北欧圏で最も成功した作曲家と言えるジャン・シベリウス。1892年にフィンランドの民族主義を信奉する家の娘と結婚した縁で、母国の文化を積極的に題材にするようになった。叙情詩「カレワラ」に基づく「レンミンカイネン組曲」などはまさに好例だ。そうした中でも有名なのが、1899年作曲の交響詩 "フィンランディア"。圧政を思わせる金管の荒々しい咆哮で幕を開け、闘争を経た後、輝かしい勝利へと向かっていく。そのドラマチックな展開と名旋律は、ロシアからの独立運動の象徴となり、中間部に歌詞をつけた合唱曲は、現在もフィンランド第2の国歌として愛されている。