

彼女が生み出す音楽の風は、穏やかさ、優しさ、明るい兆し、懐かしさにあふれており、時折ほのかな切なさを含んでいる。G.タイユフェールは1892年生まれのフランスの作曲家。幼い頃から母親にピアノを教わり、12歳でパリ国立高等音楽院に入学を許される。さらにモーリス・ラヴェルの下で作曲を学んだ彼女の作品は、サティにも称賛された。また親交を持っていたオネゲル、ミヨー、プーランクといった同世代の作曲家たちと共に“フランス6人組”と呼ばれるようになったタイユフェールは、当時のパリを代表する作曲家の一人として活躍した。一方、プライベートでは2人の夫がいずれも暴力的な人物であったことで波乱の人生を送った。そんな彼女は、生活のため、また苦難に見舞われている自身を癒やすために作曲を続けたともいわれ、ソロピアノのための小品から室内楽、協奏曲、歌曲、バレエ音楽、映画音楽と、幅広いジャンルで多くの優れた作品を遺した。