まろやかで凛としたヴォーカルを聴かせるトレイシー・ソーンと、高度に洗練された楽曲を作り出すベン・ワットからなる男女デュオ。イギリスで最も重要なインディーレーベルの一つ Cherry Red Records からデビューし、ジャズの要素なども取り入れたソフトなサウンドでも鋭いパンク的な精神を発揮できることを世に示した。いわゆるネオアコの先駆け的な存在でもあるが、1990年代に入るとドラムンベースやトリップホップといったクラブミュージックの要素を巧みに導入し、自らの音楽性をさらに進化させていく。そうしたサウンド面での変化はあっても、作品の中心に貫かれたその姿勢は普遍的なものだということが、このプレイリストを聴けばわかるだろう。